予防接種
定期予防接種・ワクチンの整備・普及に伴い、お子さんが重症感染症にかかるリスクは軽減してきています。ワクチンとは、病原体あるいは細菌が出す毒素の病原性や毒性を弱めたりなくしたりしたものです。これを接種しておけば病気にはならず、体の中に免疫の記憶を残すことが可能となります。つまり、ワクチンの接種により、あらかじめ免疫の記憶をつけておけば、いざ本当の病原体が体の中に入ってきた時に、すばやく免疫によって体が守られ、病気にかからずにすむという訳です。そしてワクチンを接種することを予防接種といいます。ワクチンで予防できる病気のことをVPD(Vaccine Preventable Diseases)と言います。多くの感染症の中で、VPDは現在20種類以上あります。
当院では名古屋市から定期予防接種業務を委託され、生後2か月よりスケジュールを組んで予防接種を実施しています。名古屋市にお住まいのお子様はもちろん、名古屋市外(愛知県内)にお住まいのお子様につきましても、愛知県広域予防接種事業へ申請していますので、当院での予防接種が可能です。名古屋市外在住のお子様につきましては、住民票のある市町村窓口へお問い合わせの上、当院までお気軽にご相談ください。
予防接種スケジュール
ワクチンで予防できる病気(VPD)について
肺炎球菌ワクチン(肺炎球菌)
健康なこどもの10人に2-3人は、鼻や喉の中に肺炎球菌をもっています。細菌が空気の通り道にくっつき全身に広がります。肺炎球菌は感染を起こした場所によって、さまざまな症状がみられます。発熱はよく見られる症状です。菌が血液に乗って脳に感染すると髄膜炎を起こします。最初は熱や機嫌が悪いなど、風邪の症状と区別することが難しいですが、その後、嘔吐、痙攣や意識障害を伴うこともあります。髄膜炎になると重い後遺症を残ったり、死亡したりすることがあります。そのほか、肺や関節、骨などに感染することもあります。本来、菌が見つからないところから肺炎球菌が検出されると「侵襲性肺炎球菌感染症」と診断されます。この感染症は乳幼児及び高齢者において頻度が高い病気です。
B型肝炎ワクチン(B型肝炎)
B型肝炎はB型肝炎ウイルスの感染によって肝臓の細胞がこわれたり、その影響で肝臓の機能が悪くなったりする病気です。感染症の経過には2通りあり、一過性感染と持続感染です。一過性感染とは感染した後、一定の期間後に感染が良くなることです。持続感染とは良くなることなく、ウイルスが体内に残り続ける状態です。感染した後、すぐに症状がでる場合を急性肝炎と言います。疲れやすい、発熱、黄疸などが主な症状で、感染した人の20-30%に見られます。一方、持続感染になった人の約85-90%の人は無症状で経過しますが、約10-15%の人は慢性肝臓病(慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん)へ進行します。
四種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ)
ジフテリア
ジフテリア菌による感染症です。発熱、喉の痛みなどで始まります。喉に白い膜ができたり、首のリンパ節が腫れたりします。ジフテリア菌は毒素を出し、この毒素が心臓の筋肉や神経に作用することで心不全をおこしたり、呼吸に必要な筋肉の麻痺などをおこしたりして重症化する場合があり、かかった人の5〜10%が死亡します。ワクチンのおかげで1999年の報告を最後に国内では患者さんの報告はありません。
破傷風
破傷風菌による感染症です。主に傷口から入り込んだ破傷風菌が毒素を出し、それが様々な神経に作用します。口が開きづらい、あごが固くなるといった症状に始まり、歩きにくい、排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなり体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりします。破傷風は、かかった人の約30%が死亡する非常に重い病気です。ワクチンでしか免疫ができない病気です。
百日咳
突然激しく咳き込み、その後ヒューという笛を吹くような音が聞こえる咳が特徴です。咳き込んで吐くこともあります。生後3か月未満の赤ちゃんでは、息ができなくなり、ひどい場合には死亡することもあります。ワクチンで免疫ができますが、時間が経つとワクチンの効果が減っていきます。
ポリオ
かつて「小児まひ」と呼ばれ、国内でも大きな流行がありました。ワクチンが導入されるまで、毎年何千人もの患者さんや死亡者が出ていました。ポリオウイルスに感染しても、多くの場合は目立った症状はありません。極めて稀に麻痺(手足を動かすことができない状態や呼吸がしにくい状態)がおこり、一生障害が残る場合があります。特別な治療法はありません。ワクチン接種により予防ができる病気です。国内のポリオは根絶されました。しかし、世界の一部の地域では依然新しい患者さんが発生しています。それらの地域から国内にポリオウイルスが持ち込まれる可能性があるため、ワクチン接種により免疫を高く維持する必要があります。
ヒブワクチン(Haemophilus influenzae菌b型)
ヒブ感染症はインフルエンザ菌b型による感染症です。インフルエンザ菌b型は、正式な菌の名前をHaemophilus influenzae type bと言い、その頭文字をとってHib(ヒブ)と呼ばれます。「インフルエンザ菌」は細菌で、インフルエンザを起こす「インフルエンザウイルス」と混同されることがありますが、全く別のものです。重いヒブ感染症は、侵襲性感染症と呼ばれ、通常、菌のいない部位から細菌が見つかることで診断します。主な病気として、細菌性髄膜炎(脳や脊髄をつつむ髄膜に細菌が入りこみ、炎症を起こし、発熱、嘔吐、頭痛、けいれんなどの症状を起こす病気)、急性喉頭蓋炎(喉頭蓋にヒブが感染し腫れることにより、急に熱が出て、唾が飲み込めない、呼吸が苦しいなどの症状が出る病気)、化膿性関節炎(関節の中に細菌が入り膿がたまる病気)などがあります。
五種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ・ヒブ)
上記の四種混合ワクチンにヒブワクチンが含まれた五種混合ワクチンです。2024年4月より接種開始しています。
ロタウイルスワクチン(ロタウイルス)
ロタウイルスは、小腸のひだの細胞に感染し、そこでウイルスが増え、小腸の細胞を壊します。その結果、小腸のひだがうまく働かなくなり、水を吸収できず激しい下痢が起こります。その他、嘔吐、腹痛、発熱などを認めます。同じウイルス性胃腸炎を起こすノロウイルスでは、嘔吐が目立ちますが、ロタウイルスの場合は、短時間における激しい下痢が主な症状で、脱水を起こしやすく、乳児の場合、特に注意が必要です。通常は、3-5日程度で軽快しますが、脱水の程度によって、経口補水液、点滴での輸液を必要とすることもあります。国内でのロタウイルス胃腸炎は毎年3〜5月に流行し、生後6か月〜2歳までにかかることが多く、5歳までにほとんどのこどもがかかります。潜伏期間は24〜48時間で、乳幼児期では、約40人に1人の割合で病気は重くなり、ワクチン導入前は、5歳未満の急性胃腸炎による入院の半数程度はロタウイルスが原因とされてきました。
BCGワクチン(結核)
わが国では、かつては「結核は国民病」と言われるほど広がっていた病気ですが、1951年に結核予防法が制定されて以来、結核にかかる人の割合が順調に減りました。しかし、1980年代に入り減少率が鈍り、2000年代以降は毎年20000人前後が発症しています。結核菌は肺で増殖し炎症反応を引き起こし、やがて肺の組織が壊されていきます。初期の症状は風邪の症状と似ていますが、咳や痰、微熱などが長く続くことが特徴です。体重減少や食欲不振などの症状もあります。進行するとだるさや息苦しさが出てきたり、血が混じった痰が出て呼吸困難などを引き起こしたり、死に至ることもあります。
MRワクチン(麻疹・風疹)
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスの空気感染によって起こります。感染力が強く予防接種を受けないと多くの方がかかる病気です。主な初期症状は、発熱、咳、鼻汁、目やになどです。最初の3-4日間は38℃前後の発熱で、一時おさまりかけたかと思うと、また39-40℃の高熱と発疹が出ます。この頃に口の中を見ると白いぶつぶつ(コプリック斑)が見えます。高熱は3-4日で解熱し、次第に発疹も消失します。発疹が消えた後もしばらく色素沈着が残ります。
風疹(ふうしん)は、風疹ウイルスの飛沫感染によって起こります。発疹、発熱、頸部リンパ節腫脹などが主な症状です。感染しても症状が出ない不顕性感染が約15〜30%あります。妊婦さんが妊娠早期に罹ると先天性風疹症候群と呼ばれる病気(心臓病、白内障、聴力障害など)をもった赤ちゃんが生まれる可能性があります。
水痘ワクチン(水ぼうそう)
水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスの接触感染や空気感染によって感染します。水ぼうそうの主な症状は特徴的な発疹でかゆみを伴います。発疹は初め斑点状の丘疹で、その後3-4日は水疱形成し、最後はかさぶたとなり治癒します。これらの皮疹が混在するのが特徴的です。発疹は体の全ての場所にでます。特に髪の毛の生えている頭皮にも出ることが特徴です。一旦、水ぼうそうにかかると、免疫が低下した場合には帯状疱疹にかかることがあります。
ムンプスワクチン(おたふくかぜ)
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスの飛沫感染で起こります。おたふくかぜの主な症状は唾液腺の腫脹で、耳下腺、顎下腺が腫れることもあります。また発熱を伴うこともあります。感染した人の約3割は感染しても明らかな症状がでません。唾液腺の腫れは症状が出始めて1〜3日がピークで、1週間ほどで良くなります。発熱は数日続き、頭痛、倦怠感、食欲減退、筋肉痛、首の痛みなどを伴うことがあります。おたふくかぜは軽い病気と思われがちですが、実際にはさまざまな合併症を伴うことがあります。髄膜炎、脳炎、脳症などの神経の合併症がみられます。他にも難聴(1000人に1人)や精巣炎、卵巣炎、膵炎などの合併があります。妊婦さんが感染すると流産の危険率が高くなります。
日本脳炎ワクチン(日本脳炎)
日本脳炎は日本脳炎ウイルスによっておこる病気です。急な発熱、頭痛、嘔吐などで発症しますが、急激に意識が低下して、けいれんや昏睡状態になります。命を落とす率が約20〜40%、後遺症を残す率も高いです。日本脳炎ウイルスに感染した患者さんの100〜1000人に1人が脳炎になると言われています。
二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)
ジフテリア
ジフテリア菌による感染症です。発熱、喉の痛みなどで始まります。喉に白い膜ができたり、首のリンパ節が腫れたりします。ジフテリア菌は毒素を出し、この毒素が心臓の筋肉や神経に作用することで心不全をおこしたり、呼吸に必要な筋肉の麻痺などをおこしたりして、重症化する場合があり、かかった人の5〜10%が死亡します。ワクチンのおかげで1999年の報告を最後に国内では患者さんの報告はありません。
破傷風
破傷風菌による感染症です。主に傷口から入り込んだ破傷風菌が毒素を出し、それが様々な神経に作用します。口が開きづらい、あごが固くなるといった症状に始まり、歩きにくい、排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなり体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりします。破傷風は、かかった人の約30%が死亡する非常に重い病気です。ワクチンでしか免疫ができない病気です。
ヒトパピローマウイルスワクチン(ヒトパピローマウイルス)
ヒトパピローマウイルスの感染は子宮頸がんや良性のいぼ(尖圭コンジローマ)などの原因となります。日本では、毎年11000人の女性が子宮頸がんにかかり、約2900人が死亡しています。20代後半から患者数が増え、40歳前後でピークになります。またヒトパピローマウイルスは、尖圭コンジローマというカリフラワー状の良性のいぼを性器の周りに作ります。
インフルエンザワクチン(インフルエンザウイルス)
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症です。ウイルスは主にA型とB型が知られています。一般的にA型の方がB型よりも症状が強くでます。感染すると、発熱、頭痛、全身のだるさ、筋肉や関節の痛みなどがみられ、その後、鼻水、咳などの呼吸器症状が現れます。いわゆる普通のかぜと比べて全身症状が強いことが特徴です。普通は1週間前後で良くなります。抗インフルエンザ薬を服用することで発熱期間を1〜1.5日短くすることが報告されています。例年のインフルエンザの流行は、12月から始まり、1月末から2月上旬にかけてピークとなることが多いです。
予防接種(自費)料金
ロタテック | 9,000 |
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ロタリックス | 13,500 |
B型肝炎 | 6,000 |
肺炎球菌 | 10,000 |
5種混合 | 20,000 |
4種混合 | 10,000 |
3種混合 | 5,000 |
2種混合 | 5,000 |
不活化ポリオ | 8,000 |
ヒブ | 8,000 |
BCG | 8,000 |
MR1期 | 10,000 |
MR2期 | 10,000 |
水痘 | 10,000 |
日本脳炎1期 | 6,500 |
日本脳炎2期 | 6,500 |
子宮頸癌 | 28,000 |
おたふく(1回目) | 3,000 |
おたふく(2回目) | 7,000 |
インフルエンザ(1回目) | 3,000 |
インフルエンザ(2回目) | 3,000 |