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心臓疾患

 当院では、日本小児循環器学会認定・小児循環器専門医を取得した院長により、お子さんの心臓疾患に関する診察、検査を行います。大人の心臓疾患と異なり一般的になじみの少ない領域ではないでしょうか。それでも、生まれたばかりの赤ちゃんの顔色が悪かったり、体重増加が悪かったり、乳幼児健診や学校心臓検診で心雑音・不整脈(脈のリズムがおかしいなど)を指摘されて、詳しい精密検査の結果、心臓疾患が発見されることがあります。また、『胸が痛い』、『突然ドキドキする』というような表現をするお子さんに関しましても、当院で心臓疾患のスクリーニング検査を行い、緊急性のある病気が隠れていないかどうか評価しますのでご安心ください。

先天性心疾患

 先天性心疾患とは、生まれつき心臓や血管の形態に何らかの異常を持っている病気です。病気の頻度としては、出生100人に対して1人(1%)の割合で、何らかの心臓・血管の異常が生じると言われています。生まれたばかりの赤ちゃんの顔色が悪い(チアノーゼがある)、哺乳力が弱くて体重が増えないなどの症状がある場合には、先天性心疾患が隠れている可能性がありますので専門医による診療が必要です。緊急性を要する心疾患が見つかった場合には、先天性心疾患に対する手術可能な高次医療機関へご紹介します。先天性心疾患のうち、頻度の多い疾患を下記に提示します。

心室中隔欠損症

 心室中隔欠損症は先天性心疾患の中で頻度の多い疾患であり、1か月健診などで心雑音が聴こえることなどで見つかることが多いです。心室中隔欠損症は左心室と右心室の間の壁に穴が開いている病気です。同じ診断名であっても、穴の大きさや位置によって症状の程度は変わります。欠損孔が大きな場合は比較的早期から飲み薬や手術による治療が必要となります。一方で欠損孔が小さな場合は、自然に欠損孔が閉じるケースや欠損孔が残っても治療を必要としないケースもあります。

心房中隔欠損症

 心房中隔欠損症は先天性心疾患ではありますが、幼少期に症状が出現することは少なく学校心臓検診などで見つかることの多い疾患です。心房中隔欠損症は左心房と右心房の間の壁に穴が開いている病気です。大きな欠損孔の場合でも小児期に症状が出現することは稀ですが、症状がないからといって治療せずに放置してしまうと、30-40歳を過ぎた頃から心臓の負担や肺の高血圧が進行したり不整脈が出現したりするリスクがあります。以前は心房中隔欠損に対する根本的治療は手術治療のみでしたが、近年、日本でもカテーテル治療が認定されました。条件が揃えば開胸することなく(手術の傷跡を残すことなく)、カテーテル治療の適応となることがあります。
 その他、生まれつき顔色が悪い、体重が増えない等、緊急性の高い先天性心疾患が疑われる場合には、心臓超音波検査を行い、正確な診断を行い適切な管理、紹介を行います。

川崎病

 川崎病は代表的な以下の6つの症状を持つ疾患です。
 ①発熱、②目の充血、③口唇や舌の発赤、④首のリンパ節の腫れ、⑤皮膚の発疹、⑥手足の腫れや発赤、のうち、5つ以上の症状が揃うと川崎病の診断がつきます。5つ以上の症状が揃わない不全型川崎病も存在しているため注意が必要です。川崎病の原因は未だ不明ですが、川崎病に有効とされる治療(大量ガンマグロブリン療法)については広く知られており、基本的には入院治療が必要です。また川崎病に対する治療効果が乏しい症例においては、頻度が少ないながらも合併症として冠動脈にコブ(冠動脈瘤)ができることがあります。合併症なく川崎病治療を終えられた方も定期的な心臓超音波検査が必要となります。

不整脈

 心臓の働きは洞結節と呼ばれる場所から電気信号が発生し、その刺激が心臓内を伝わることで心臓の筋肉が収縮し全身や肺へ血液を送り出すことができます。この電気信号の発生から心臓内における刺激の伝わりにおいて異常が生じることで不整脈が出現します。不整脈には、①脈が速くなる頻脈性不整脈と、②脈が遅くなる徐脈性不整脈、があります。いずれの不整脈も、12誘導心電図検査や24時間ホルター心電図検査によって診断を確定します。頻脈性不整脈の場合、薬剤(抗不整脈薬)投与や、カテーテル治療(アブレーション治療)の適応となることがあり、必要に応じて専門施設へご紹介します。徐脈性不整脈の場合、めまいや失神などの症状を認めたり、高度な徐脈を認めたりした場合には、ペースメーカー治療の適応を考慮して専門施設へご紹介します。

起立性調節障害

 思春期近くのお子さんが、朝起きられない、立ちくらみ、めまい、全身倦怠感、頭痛、腹痛、嘔気、食欲不振など多彩な症状を訴える場合、原因として起立性調節障害が隠れていないかどうか評価する必要があります。症状は午前中に強くみられ午後からは軽快することが多いことも特徴的です。また近年では不登校のお子さんのうち、30-40%に起立性調節障害を伴っているとも言われています。
 起立性調節障害は、体位変換(寝ている姿勢から急に立ち上がるなど)により、循環動態の急激な変化に対する体の代償的調節機構が上手く機能せず、循環不全に陥った状況です。他の原因の有無について確認した上で、新起立試験で診断します。起立性調節障害は下記の4つのタイプに分類されます。①起立直後性低血圧、②体位性頻脈症候群、③血管迷走神経性失神、④遷延性起立性低血圧
 治療の基本は生活リズムや睡眠リズムの改善、水分摂取や運動療法など非薬物治療がメインとなります。非薬物治療だけでは効果が乏しい場合には、追加で併用される薬物療法(塩酸ミトドリン、漢方薬など)があります。起立性調節性障害では治療効果が得られるまでに時間を要することも多く、中等症の方で、1年後の回復率は50%前後、3年後は70-80%前後との報告もあり、症状との上手なつき合い方を習得することも大切です。

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